ぐうたらバンザイ! ←クリックで注文できます ある村におっとりして無邪氣な旦那と、計算高く活發な妻がゐた。旦那は道草が大好き。川で魚の姿を見ればそばまで近寄り、子供らがサッカーをやってゐれば一緒になって走り回り、村人が集ふビリヤード場では腕を見せつけたくてしやうがない。村の吹奏樂團ではテューバ(サクソルンバス)を吹き、祭のステージではソロを貰ふ腕前だ。
旦那の家は農家。力仕事が山ほどある。いつも道草を喰はうとする旦那をコントロールしてゐるのが、妻だった。旦那がトラクターを離れればクラクションをブイブイ鳴らされる。サッカーを眺めようとすればクラクション。ビリヤード場の窓越しに聲をかけられるやクラクション。そのたびに旦那はいそいそと仕事に戻らざるを得ず、夜は夜で夫婦のお務めがある。一瞬たりとも氣を抜けない日々を送ってゐた。
とは言っても、監視役の妻も氣を抜くことが出來ず、いつも車で旦那の後を追ひかけ、クラクションを鳴らさなくてはならなかった。ある日、妻は、交通違反でキップを切られてゐる間に、警察官の持ってゐたトランシーバーに目を付け、旦那にトランシーバーを持たせるやうにした。かくして、何處で何をしてゐても、常に「さっさと仕事しなさい!」と、妻の聲が旦那を襲ふ。
そして今日は村の祭り。今日ばかりは、みんな仕事を休んで、祭りに興じる。旦那は吹奏樂團でソロを吹くことになってゐた。しかし、お客から注文が入った、と妻に止められる。お客に発送するカボチャの山を前に、たうとう旦那がブチ切れる。「ふざけんな〜」
このあたりから、段々旦那に運が向いてくる。やかましい妻は車の事故であっけなく死亡。葬式を終へた旦那は、ニヤけを抑へられない。弔問客を歸すと、家畜の檻を開け放ち、「10年分寝るぞ〜」とばかりに、ベッドでグースカ寝だした。かくして、旦那のグータラ生活が幕を開ける。
目が覚めた旦那は、飼い犬におつかひを頼み、ベッドの上で食事、テューバの練習、と毎日思ひのままに過ごす。
この旦那のぐうたらぶりは、すぐに村の子供たちによって眞似られた。言うことを聞かなくなった子供に困った村人たちは、旦那に、まともな生活をしろと口説かうとするのだが、うまく行かない。終ひには、説得する村人も、ぐうたらし始める。さてさて、この村はどうなるのか。それは映畫をご覧下さい。
「怠け者」と「グータラ」は違ふなぁ、と思った映畫です。すばらしき、ぐうたら人生。いやぁ、かうであったらいいなぁ、と思ふことしきりです。それを察知したウチのカミさんが、「天井からユーフォ吊すのだけは絶対やめてね」と、早速クラクションを鳴らしましたとさ。
サクソルンバスの音色がまた心地よいです。殿方は、嫁さんが里歸りした休日に觀ると、きっと最高です。
Copyright(C) 2009 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Mar.09 00:00
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