2011年12月02日

あのアイドルがユーフォを抱えてゐる表紙

  mayuyu.jpg

 なんと吹奏楽の新雑誌「アインザッツ」の表紙で、人気アイドルグループAKB48のまゆゆこと渡辺麻友さんがユーフォニアムを抱へてゐます。

 雑誌は、あの「科学」「学習」の学研から発行され、ティーンエイジャーをターゲットにしてゐるやうです。

 表紙画像をFacebookに載せたところ、國内ばかりか、これが海外でも大變な反響。「Nice!」やコメントだけでなく、台湾、中国、タイなどでも續々シェアされてゐます。そして韓國勢からは全く反應がないといふのも面白いです(笑)

 なほ、日本人のコメントとしては、

「こんな娘が樂團に入ってきて欲しい」
「オジサンたちが喜びさう」
「気が散って練習にならん!」
「思はず座高が低くなる」
「既に雑誌を豫約してる」

といったやうな書き込みも。ティーンエイジャーをターゲットにした雑誌だといふのに、却ってそれ以外の年齢層のツボにもはまった模樣。それにしてもAKB48、凄いパワーですな。

 雑誌はこちら。店頭で買ひづらいお方は、通販でどうぞ!
 
 おまけ AKB48 チームB 「アイドルの夜明け」
 

 ここでユーフォを吹いてゐるのでオファーがあったものと思はれます。JETA も是非!(笑)
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Dec.02 01:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月26日

ドイツの吹奏樂

 Yahoo! 知恵袋でもたびたび出る質問に「吹奏樂とブラスバンドは違ふのか」といったものがあります。

 その回答の中に「ドイツでは吹くことをブラス(blasen)と言ふので、日本で言ふブラスバンドは、そこから來てゐる」といふ趣旨のものがあります。そして、これに對する賛否が、やや激しい形で展開されてゐたりするのですが、そのどれもが全く實情を捉へてゐないので、私の知る得た限りで記載しておかうと思ひます。

 なほ、日本で吹奏樂をブラスバンドと呼んできたことと、ドイツの「blasen」との關係については、私には分かりません。ドイツにおいて「Blasband」といふ呼稱を、聽いたことも見たこともないからです。

 ドイツにおいて、管樂器を中心とした合奏形態、日本で言ふ吹奏樂は Blasmusik と呼ばれ、吹奏樂團は Blasorchester(ブラスオルケスター)といふ総稱がよく使はれてゐます。學術的には色々な分類があるかとは思ひますが、演奏會やCDなどの分類からすると、Blasmusik は、大きく以下の2つのジャンルに分けられると言ってよいかとます。

1. 一般的な Blasmusik(ブラスムジーク)といふジャンル

 Blasmusik と言った場合、一般的には、行進曲、ポルカやワルツなどを中心に演奏する實用的な吹奏樂を指すことが多いやうです。ドイツにおいて、普通吹奏樂と言へば、そのやうなものだといふことを表してゐるのでせう。

 宴會や各種イヴェントで演奏をするプロの樂團、また村の行事(お祭り・結婚式といった宗教行事など)で演奏するアマテュアの樂團がこのジャンルに該當します。このやうな Blasmusik を演奏する「樂團」(Musikanten)を、Blaskapelle(ブラスカペレ)と呼ぶこともあります。コンサートホールでの演奏よりも、屋内外のパーティー会場、ビアホール、教會での演奏、行進による演奏などが多いやうです。

 小編成はクラリネット、フリューゲルホルン(トランペット)、テューバ(フロントベルのユーフォニアムや、ドイツ式バリトンなども)に、アコーディオン、ドラムなど5人から10人以内が多いです。小さい酒場やパーティーでの演奏が多く、編成のフレキシブルな樂譜が使はれます。

 中編成となりますと、フルート、クラリネット、フリューゲルホルン、トランペット、ドイツ式のテノールホルン・バリトン、Fバステューバ、Bコントラバステューバ、ドラムと、15〜25人ぐらゐです。華やかな演奏効果を求めつつも人数を絞ったプロのBlasmusikはこの規模が多いです(ギャラの都合もありますので)。

 大編成は、中編成にサキソフォン、ホルン、トロンボーン、パーカッションなどが加はります。村の吹奏樂團(編成を限定せず、コミュニティー重視)などに見られます。

2. Sinfonische Blasorchester(シンフォニッシェ・ブラスオルケスター)といふジャンル

 一方、一般の Blasmusik とは一線を畫し、各國の吹奏樂のオリジナル曲やオーケストラ等の作品を編曲したものなど、藝術性を追求した演奏を中心にする吹奏樂團を指して、Sinfonische Blasorchester といふ呼稱があります。

 オーケストラに附屬の吹奏樂團、音樂大學など専門教育現場における吹奏樂團、放送協會などのプロ吹奏樂團、藝術志向のアマテュア吹奏樂團(専門教育修了者も在籍)などが該當し、主にコンサートホールで演奏します。

 軍や警察の樂隊(Musikkorps)は、軍樂の演奏の他、一般の Blasmusik 的な演奏任務もありますが、コンサートホールでは、主に Sinfonische Blasorchester 志向で任務を行ひます。

 編成や各樂器の役割は、日本の吹奏樂團とほとんど變りありません。Blasmusikと同じく、一般的にはコルネットではなくフリューゲルホルン、ユーフォニアムではなくドイツ式のテノールホルンとバリトンが使はれ、樂曲もその編成で書かれてゐます。近年の國際吹奏樂コンクールなどの影響か、コルネットやユーフォニアムで演奏する樂團もあります。
 
 このやうに Blasorchester による Blasmusik は、音樂の役割によって、一般の Blasmusik と、藝術性を追求した Sinfoische Blasorchester とに呼び分けられるのが實情のやうです。もっとも、使用される樂器はほぼ同じですので、日本と同じく、志向を限定せずに、時と場合によって Blasmusik と Sinfonische Blasorchester の兩ジャンルを演奏してゐる樂團も、アマテュアにはあるやうです。

 しかし、プロの場合は、仕事ですからスタイルを重視しますので、Blasmusik の樂團が Sinfonische Blasorchester で興行を打つことはないと思はれます。所属メンバーが、それぞれの樂團で仕事をすることは、もちろんあり得ます。ただ、どうもプロの Blasmusik には、スタジオプレーヤーが多いやうで、別の日には Sinfonische Blasorchester といった藝術分野ではなく、ジャズのビッグバンドなどの仕事をしてゐるやうです。そんなところにも、兩者の畑の違ひが垣間見られます。
 
 先にも書きましたとほり、これらは演奏會やCDなどの分類に基づいた私の見解ですので、學術的にはもっと色々な分類があり、より細分化することも出來るかと思ひます。

 余談ですが、ドイツ人が、日本の吹奏樂團(50人規模)を「Big Band」と稱したといふお話をネット上で見ました。おそらくは「Großes Blasorchester」(ドイツにおいて60人程度の大規模な吹奏樂團を指す)を英譯したのでせう。もちろんジャズのビッグバンドとは別の意味合ひだと思はれます。

 ドイツの Blasorchester を規模で分けますと

 Kleine Harmoniemusik(25人程度)
 Mittleres Blasorchester(40人程度)
 Großes Blasorchester(60人程度)

となるやうです(参考:Handbuch der Blasmusik, Hans-Walter Berg 他著, Schott, 2004)。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Oct.26 23:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月19日

使へる樂器と使へない樂器

 樂器のオークションを始めて、かれこれもう10年近くになるかと思ひます。オークションはまさに玉石混淆。賣りも買ひも色々やってきましたが、今になって思ふことが幾つかでてきました。その一つが「使へる樂器と使へない樂器」です。

 これは、「その樂器の特性がちゃんと出てゐる樂器」が「使へる樂器」だといふことです。たとへ古くても、その樂器の特性がちゃんと出るのであれば、いつの時代のものでも、どこで作ったものでも「使へる樂器」と言って良いと思ふのです。

 しかし、その樂器の特性が出てゐなければ、ただの筒です。修理しても、いくら手を入れても、その樂器の特性は出てこないのが現實です。では、オークションでは、どんな樂器に手を出してはいけないかを、經驗に基づきながら、少しだけ書いておきます。

○ 中国製の樂器

 反發する方もいらっしゃるかもしれませんが、オークションに出てゐるもののほとんどはまともに作られてゐませんし、そもそも形だけで、その樂器の特性を出さうと思って作られてゐるものなど、ほとんどないからです。先日上海で見たような樂器は、まだオークションにはほとんど出てゐません。

 もちろん私は、「その樂器の特性を引き出したい」といふ奏者を前提に言ってゐます。初心者さんですとか、予算の限られた學校さんですとか、また普段は他の樂器をやってゐてちょっと遊んでみたいといふ方は、また別です。

 「その樂器の特性を引き出したい」といふ奏者を前提に言ふなら、ユーフォニアム関連で行くと、オークションに出てゐる中国製の90%以上は、使ひものにならない、といふ印象です。特にコンペの場合、どうしても前の記事に書いたことが氣になります。これは後で手を入れてもどうにもならない部分だと思はれます。

 例へば倒産した喜望峰さんは、中国で製造されたものに、後から色々手を入れたりしてゐましたが、コンペの樂器としては、響きが全く駄目でした。あくまで「値段の割には」といふところで、妥協が出來るのです。

 前のレポートの通り、中国製の中にもなかなかいい線行ってゐるものも出てきており、用途によっては、私からお勧めできるものがあるのですが、それらはオークションを見ても、まだ出てゐません。販賣する方のほとんどは、ユーフォニアムに其處まで入れ込んではゐません(どれが良くてどれが良くないんだか、正直言ってわからないといふ販賣者も實際多い)から、今後も期待はできません。

 ところで、某社が作らせてゐるコンペの樂器は、なかなかのものと聞いています。おそらく、他の中国製の樂器から比べれば、かなりいい線なのではないかと思ひます。しかし、その元になってゐる樂器(これが作れるところは限られてゐますので、すぐわかります)を吹いた限りでは、この樂器の持つ根本の問題をクリアできるとは思へません。コンペのやうな繊細な樂器は、ともすれば抵抗ばかりで響きが曇ってしまふ厄介な構造を解決させるべく、全部の設計を一からやるのでなければ、本來の響きの特性が發揮されないのかもしれません。

 さういへば、某社の樂器について掲示板などに意見を書くと、「吹いたこともないくせに」と、すぐ感情的に猛反發する方がをられました(リサーチのために關係者が掲示板などに質問を入れてゐるやうに感じられたことすらありました。最近はさういふことはありませんが)。そんなに自信がおありでしたら、是非とも當方にお持ち下さればなぁと思ひました。謹んで(もちろん大眞面目に)試奏させて頂きますし、その感想を正直に掲載させて頂きます。ご希望であれば、中国製の他のメーカーとの順位をつけることも出來ます。

 さて少し話がそれましたが、それではドイツ系の卵形の樂器はどうかといふと、殘念ながら、これはほぼ100%駄目です。賣ってる業者も、何が良くて何が良くないのかが、全くわかってゐません。上海でもこれまでに何本も試奏しましたが、この樂器の特性の一つである音の伸びが、全然お話にならないレヴェルです。本場の樂器が上等な鹿のルイベだとすれば、中国製の樂器はとけた得體の知れない肉といふくらゐに違ひます。

 これで、その樂器本來の特性を感じようとしても、無茶な話です。このやうな樂器で得られるものは、まがい物の體驗と知識になってしまひます。しかも、それしか經驗がなければ、それがその樂器の特性だと勘違ひしてしまふやうになります。

 普段知らない特性を持つ樂器程、本物に觸れることが大事です。豫算に限りがあるなら、きちんとしたメーカーの状態の良い中古を購入すべきです。

○ 極端に古い樂器

 金管樂器の多くは金属で、そのヴァルヴ部分は金属です。ここが摩耗しますと、音色が大きく變ってしまひます。特性が變化すると言ってよいでせう。では、ユーフォニアムやバリトンなどがどれだけ保つかといふと、これは樣々な意見があるかと思ひます。管の厚みや、材料の特性にもよるでせう。

 私の経験で行きますと、大體40年を超えた樂器は、骨董品の部類に入り、アマテュアでも實戰には向かないと思ひます。もうその樂器の特性が出にくくなってをり、他の經年劣化の部分が目立つやうに感じます。

 ベッソンならニュースタンダードが限界、ニュースタンダードクラスAは状態によってギリギリですが大半はもう無理、B&Hなら地球儀のImperialが限界です。プロユースであれば、これらも厳しいでせう。
 
 これ以前のものは、骨董品として、やや枯れた趣のある音を樂しむにとどまります。たとへ有名なメーカーのものでも、手を入れたところで、失はれた艶は戻るものではないやうです。私は大體「にほひ」で使へるか、使へないかがわかります。

 コレクションとして樂しんだり、研究用にするのであれば別ですが、これらの樂器で、その樂器の特性を知らうといふのは、無茶です。

○ 最後に

 その樂器の特性を知って、それを道具として使ひたいのであれば、使へない樂器を何本持ってゐても無駄で、むしろ余計な知識と思ひ込みが培はれるばかりです。それなら、たとへ中古でも、状態の良い本物を一本持っておく。あとは氣持ちさへあれば、奥深い發見が得られるのです。是非さうあられることを願ひます。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Oct.19 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月14日

言ある者は必ずしも徳あらず

 ある音樂家と稱する人物のブログを大分以前から讀んでゐて、その發想に、なるほどもっとも、鋭いと思ひつつも、ずっと何かが違ふと思ってゐた。しかし、その何かとは何なのかがわからず、もどかしく思ってゐた。

 それは實に根本的なことだった。この者の文章は、實感と言葉とが乖離してゐる。つまり、言葉が大げさなのだ。例へば、何かと新しい發見をする度に、すぐ「○○をすることはもう一生ない」「これまでものは全部捨てる」と、潔く言ひたがるのである。

 發見といふ感動を語るのに、いちいちそんな宣言をする必要などないのだが、なぜわざわざそんなことをするのか。彼が過去を大げさに否定してかかるのは、結局新しい發見を際立たせ、絶賛したいがためだと氣がついた。

 こんな輕薄な宣言など、後に臆面もなく撤回されるに決まってゐる、と思ってゐると、案の定、易々と前言が撤回される。この者の言ひ譯は、容易に想像がつく。かつて否定したあるものが、また新しい發見となったに過ぎないのだ、と。

 しかし、物事を本当に見極めたければ、どうして、思想が實生活によって打ち破られることを繰り返す、その複雑怪奇な己自身に眼差しを向けようとしないのか。

 物事の本質を見極めたやうなそぶりを見せながら、要するに彼は「俺、こんなことがわかる人間なんだぜ」といふ自己絶賛とその宣傳をしたくてたまらないのだ。その爲なら、大げさな自己否定のジェスチャーなど朝飯前だ。もはや、過去を否定しては一時も生きられないであらう己の姿に氣付くこともなく、孤高の自稱音樂家として、自己欺瞞を續けて生きるのだらう。

 何年もかかったが、やうやくそれが見えてきた。彼の心は子供のやうに鋭敏だが、彼は決して心の豊かな人物ではない。彼との生身のやりとりで、相當に不愉快な思ひをさせられることが多々あったのも、それで納得が行った。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.14 08:48 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月13日

子曰く

論語に

子の曰く、由よ、なんじにこれを知ることををしへんか
これを知るをこれを知ると為し
知らざるを知らずと為せ
是知るなり

とある(巻第一 為政第二 十七)。

どうやら私は、所謂「物知り人」が嫌いで、「物知り人」が他人に教へてゐるのに遭遇するのが、最も嫌いなやうだ。

おそらく「物知り人」が、往々にして、知らざるまでも知ると為しているからであらう。皆「これを」を読み飛ばしてゐる。是知らざるなり。

知らざるを知らずとするのは、孤独だ。いつも他人と群れ、同じて和せぬ付き合ひに耽溺してゐる者には、決してわかるまい。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.13 16:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月10日

遅ればせながらご報告

 本平成23年度より、日本ユーフォニアムテューバ協会の理事を拜命いたしました。

 特に専門教育を受けてきたわけでもなく、はなはだ力足らずではありますが、コツコツと研鑽を積み、何らかの形でその成果をお披露目して行きたいと考へてをります。

 遅ればせながら、ご報告まで。
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.10 13:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月01日

祝900,000アクセス

お陰様で、PROJECT EUPHONIUM のアクセスカウンタが、本日900,000を突破しました。皆様の日頃のご愛顧に心より御礼申し上げます。

ミリオンアクセスまであと一息。今後とも、細々とやっていく所存です。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.01 10:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月26日

砂遊び

學生の時、ゼミの先生がこんなお話をされた。

とある有名大學の學生にアンケートを採った。「大學生になった今、何を一番したいか」と。その回答の中に「砂遊び」といふものがあったといふ。しかも、一人ではなく數名ゐたといふのである。

大方は、過酷な受験勉強の反動と解釋しさうなものだが、私は最近、この話を思ひ出しつつ、また別のことを考へてゐる。大人になってからする「砂遊び」は、案外面白いものと感じられるのではないか、と。

大抵の大人には、そんな時間も機會もないし、また大人が砂遊びなどするものではない、といふ理性が働くから、公園の砂場が大人で一杯になるやうなことは起こり得ない。

さて、それなら、さうした機會を作り、どうぞ童心に帰って、今日は一日砂遊びをして下さい、となったら、果たしてどうなるか。

山を作り、トンネルを掘り、ある者は川を流し、ある者は高さを競ひ… 童心に帰るどころか、大人の知恵で大きなスコップを持ってきたり、果てには重機を持ち込んできたり…

一日で終はれる者は、ああ樂しかったと、かつての日々を思ひながら、手を真っ黒にして家路につくことであらう。そして、自分がかつて砂遊びから何を學んできたかに思ひを馳せるかもしれない。

しかし、一日の遊びに終はらずに、この世界から抜け出せなくなる者も出て來るかも知れない。彼らは毎週のやうに集まり、山を作り、トンネルを掘り、川を流し、高さを競ひ、スコップだ、重機だ…

もし前者が、「いい年して砂遊びかい」と言はれれば、「お恥ずかしいお話で…」と顔を赤らめることであらうが、後者がそのやうなことを言はれたら、どうなるか。たちまち「砂遊びを馬鹿にするのか」「お前はこの樂しみをわかってゐないから、そんなことを言ふのだ」と食ってかかりさうな氣がする。

いかに高からうと、いかに複雑だらうと、いかに整ってゐようと、「砂遊び」である以上は、児戯に過ぎない。これを忘れて、いかに高いか、いかに複雑か、いかに整ってゐるかに血道を上げて競ってゐるとしたら、やはり大人として異常だと思ふ。

大人には大人の樂しみといふものがあり、それは大人として成長してゐなければ、樂しめないものだ。そして、子供が砂遊びを通して成長するのと同じく、大人も大人の遊びを發見し、挑戦し、汗を流さなくては、人として成長しないのだ。

大人の樂しみをむしろ避け、いつまでも砂遊びに興じる大人の姿といふのは、私には、やはり奇異な姿に映じる。

もし吹奏樂が、「あの青春をもう一度」などといふ發想にしか集約されないのならば、それはもはや「砂遊び」に等しいといふことにならうか。

中高年層の吹奏樂團が、今後ますます増え續けることを思ふにつけ、その樂しみ方を考へさせられるのである。
 
タグ:吹奏楽
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.26 10:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月01日

百聞は一聴に如かず

 「細管は音が細くて貧弱」とか「ドイツのテノールホルンは、サクソルンのバリトンに相当する」といふ方の百聞に、一聴をお勧めしたい。

  

 ソリスト:エルンスト・フッター / 演奏:エーガーランド樂團

 ドイツで最も有名な吹奏樂團、エーガーランド樂團のリーダー。初代リーダーのエルンスト・モッシュ氏の時代から同樂團でテノールホルンを担当。ビッグバンドでトロンボーンを、吹奏楽団でテノールホルンを演奏していたさうだ。

  

 エルンスト・モッシュ時代のフッター氏。隣のハゲのオッサン、実はジャズを吹かせても、とんでもなく上手い。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.01 22:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月28日

もう時効だと思ふので

もう何年も前、ある朝早く一本の電話。

「そちらで中古の○○買った者だけど。」
「あー、その節は有り難うございました。」
「近くの樂器屋に修理に持って行ったらさ、部品が違ふって言はれたよ。」
「は? どの部分ですか?」
「いやさ、△△と▲▲とのデザインが違ってるんだよ。だからこれ、違ふ時代のを組み合はせて賣ったんだらうって。」
「いや、そのやうなことは斷じてしてをりません。」
「だってさー、その樂器屋がさう言ってるんだよ。修理もやっててさ、樂器には詳しいんだよ。」
「さうですか…。当方は海外から中古の状態で仕入れてをりますので、万が一ですが、前の持ち主さんが、パーツの交換をしたといふ可能性が全くないとは言えません。どうしてもお気に召さなければ、ご返金させていただきますが…」
「いや、別にいいんだよ。こっちも画像とか見て買ったんだし。たださー、樂器賣ってんなら、ちゃんと見とけよって言ひたかったんだ。じゃ」

 それで、再度販賣寫眞を凝視してみた。確かに似たやうな部品同士の、細かな部分の相違はあるが、これはもともと「かういふもの」で、時代の違ふものが取りつけられてゐるわけではない。念のため、新品も含め、同じモデルの別の寫眞を數枚確認するが、今回のものと同じ仕樣。

 結局その樂器屋の店員が、確認もせず、元々違ふ形状のパーツなのに、自分の想像で「違ふ時代のパーツ」だと言ったことになる。

 迷惑な話で、今も思ひ出すだに腹が立つのだが、その電話できちんと説明できなかった自分も未熟だった。せめて、一旦お電話を切って、自分でよく確認してから改めてお電話するべきだったと思ふ。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Jul.28 18:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月24日

ジャイアンのリサイタル

吹奏樂や金管アンサンブルの演奏會へ行って、うんざりするのが、所謂「ポップス」。この種の音樂が嫌いなのではない。嫌いなのは「自己流で何が惡いか」と言はんばかりの演奏だ。

ズンドコドラムに率ゐられながら、いい大人が「ハーディスコ!」とか奇妙なかけ声をかけ、あんな軽薄な曲を嬉々として演奏してゐるのは、私には實に奇妙なことに感じられる。どうせやるなら、その元になったであらう曲を、ちゃんと演奏してもらいたいものだ。

選曲もさることながら、曲のスタイルを顧みることない、無邪気な表現は、まともなラーメンも作れない(と言ふより作らうとしない)者が、ラーメンのスープにスパゲッティーを入れて、はいイタリアン・ラーメンだと言って客に食はせてゐるやうなものだ。

恐らく彼らは、樂器で音を出すことそのものを樂しんでゐる。そして「耳心地のよい曲を、一生懸命、樂しんで演奏すれば、聽いてゐる者も樂しんでくれるに違ひない」と思ひ込んでゐる。それは、子供なら、無邪氣といふことで、まだ許せる。聽いてる方も、ああここは學藝會會場なんだと、心を入れ替へればよい。

一方、アマテュアとは言へ、いい大人がいつまでもブラバン學藝會をやってゐるのは、どうも奇妙に思はれてならない。まさにジャイアンのリサイタルのやうだが、誰もが自分がジャイアンだなどとは思ってはゐないし、思ひたくもないであらう。

いや、アマテュアの余暇活動なのだから、別にそれでも一向に構はないのだ。しかし、もしジャイアンのリサイタルだと言はれて腹が立つとしたら、それは身の程知らずといふものだ。あるいは、ジャイアンではなく、本當は何か他のものでありたい、さう思ってゐるのではないだらうか?

  gian.jpg
  c藤子プロ・小学館

さて、話を戻すが、所謂「ポップス」と呼ばれる音樂の演奏と同じく、行進曲の演奏も酷い。大體どの樂團の演奏も、「アメリカンマーチの軽薄ヴァージョン」にしか聽こえない。テンポが速い、軽い、浅い、後打ちが早くて氣が抜けてゐて弱い、音が短いと切れがよいと勘違ひしてゐる。あ、いやこれはウチの樂團も同じであることを痛感してゐる。

そこで、提案だ。J.フチックの「剣士の入場」といふ曲がある。これは、オーストリアハンガリー帝國時代の曲で、現チェコやオーストリアの行進曲として有名である。一方この曲は、「雷鳴と稲妻」といふ題名で、アメリカのサーカスバンドでも用ゐられ、有名になった。

この両者を、それぞれチェコ・オーストリアの行進曲として、そしてサーカスマーチとして、それぞれ演奏して貰ひたい。さて、貴方には出來るだらうか。

勿論、本場の譜面を使ったとか、樂器をロータリーだフロントベルだと變へみたといふだけでは、ほとんど變らないことは、目に見えてゐる。

やってみれば氣がつく。音樂の持つ何かを、いかに蔑ろにしてきたか、そして音樂について、いかに無知であったかが。

もっとも、やったにしろ、やらないにしろ、あれこれ理屈をつけて自己弁護したくなってしまふ人が格段に多いであらうことも、容易に想像がつく。實際、ほとんどの團體がさうなのだから。
 
いや、本當のところ、アマテュアなんかどうでもよい。日本のプロの吹奏樂團はこれが出來るのだらうかと問ふてみたい。

私がプロの演奏で聽きたいのは、そのやうな演奏なのだ。モーツァルトなら、これがモーツァルトです、といふ演奏を聽かせてほしいといふ、單純だが、果てしなく困難であらう仕事を期待してゐる。

「とりあえずやってみました」といふ演奏には、アマテュアのものは勿論、プロのものなら尚更、うんざりさせられるのだ。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Jun.24 01:57 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月14日

反時代的考察

 大学の入学試験中Yahoo!知恵袋で回答を求めたなんていふ事件がありました。ふと思ひましたが、彼は予備校に通ってゐる間、先生に、わからない問題を質問しに行くやうな人だったのだらうかと。

 いまや、魚屋で魚を買って、家へ帰ってからその魚や調理法についてインターネットで質問することを、別にをかしいとは思はない世の中になってはゐないでせうか。

 魚屋は魚を売るだけで魚の調理法についての知識はないもの、と思ってゐるのか、それとも魚屋に面と向かって質問ができなくなってゐるかのどちらかではないかと思へてなりません。

 もっとも、スーパーのレジ打ちの女子高生に、魚の調理法を聞いたって、適当な答へが期待出来ないなんて場合もあります。しかし、魚屋は、単に魚を売っているのではなく、美味しく食べるための魚を売ってゐるのですから、魚の調理についての知識は、人一倍詳しいはずです。

 別に悪いわけではないのですが、この傾向はどうも歪んでゐるやうに思はれてなりません…
 
 ポイントがつくとか、アフターサービスがあるとか、クレームをつければすぐに返品がきくとか、そんなところばかりを気にして、ここに聞けば何でも答えてくれる、そんな親父がちまちま働いてゐるやうなお店が廃れてゐくのは、果たして抗ふことのできない、便利な時代の流れなのでせうか。

 願はくは、商品名を聞いたとたん、「お、あの店で買ったね」、と言はれるやうになりたいものです。
 
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at May.14 18:13 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月22日

外囿さん、テレビ出演

スクールLiveShow for TEENS
http://www.nhk.or.jp/sls/teens/index.html

ユーフォニアムの名手として外囿祥一郎さんが登場します。

4月22日(金)18:55〜19:25 NHK Eテレ(教育)
(再)23日(土)12:00〜12:30 NHK Eテレ(教育)

ついでに楽器紹介で、私の ユーフォニアム B&H IMPERIAL サテンシルバー の画像が使はれるさうです。
Copyright(C) 2011 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Apr.22 05:13 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月23日

なかなか面白かった今月のパイパーズ

【箱根 BRASS de FAST】

 今月のパイパーズに、先日參加した「BRASS de FAST」の模樣が掲載され、當方の畫像と當ブログの文章を提供いたしました。あれから2ヶ月經つのですが、随分前のことのやうに思はれます。

 元の文章と、カラー畫像はこちら
 http://euphstudy.seesaa.net/article/157066352.html
 http://euphstudy.seesaa.net/article/156818986.html


【ユーフォニアム奏者 露木薫氏のインタヴュー】

 藝大大學院在籍中、パリ音楽大学のサクソルンバス科に入學し、サクソルンだらけの中でどのやうなことを感じてをられたかなど、興味深いお話でした。來る11/21のジャパン・ユーフォニアム・テューバフェスティバルにおける「レクチャーコンサート」(中會議室にて)露木氏のサクソルンバス(なんとフレンチテューバも!?)が聽けますので、是非おいで下さい。


【ウィルソンの國内新發賣モデル】

 ウィルソンの2905を露木氏が紹介してゐました。なぜか日本ではTA2905になってゐました。TA2900との一番大きな違ひは、ベルが一枚取りではないといふことでせう。これについては、大分以前に書いたことがあります。ウィルソンではTAと、さうでないモデルとは、このベルの成型方法が異なってゐるのです。ですので、ウィルソンではTA2905とは書いてゐません。單に2905です。

 このベルの成型方法について、代理店が一切書いてゐないのといふのが不思議です。「ベルの成型が違ふので、音色やレスポンスが異なる」とすれば、廉價モデルといふことではなく、趣の異なるモデルといふことで出せさうに思ふのですけれどね。
 
 知らず知らずのうちに、「ワンピースベルの方が上級」といふ暗黙の了解でも出來上がってゐて、今回のモデルはさうではないから、その辺は觸れないでおいた、といふことなのでせうかね。ワンピースの方が、加工の手間がかかるので、値段が高いのは確かですが。どうも意圖が判りません。

 もしかして、また代理店から嫌はれるやうなことを書いてしまひましたか、私?


【ファゴット奏者小山莉絵さんのインタヴュー】

 全ドイツ國立音大コンクールのファゴット部門で1位になった、小山さんは、まだ19歳。一見、可愛らしいお嬢さんなのですが、お父さん(プロのファゴット奏者)の厳しいレッスンを受けて育ち、各コンクールで20連勝中ださうです。スゴイ方がいらっしゃるものです。10/14に日本でリサイタル開催とのこと。

「コンクールでは1位を目指さないと2位すら取れない」。どっかの担当大臣に聽いて貰ひたい言葉ですね。


【編集後記】

 特に前半を、相槌を打ちつつ讀みました。私も、「ユーフォニアムの發展を願はないやうな人は、ユーフォニアムについて語る資格はない」などと詰られたことがあるので、よく判ります。

 雑誌といふのは、なかなか本音が書きにくいものでせうが、どの考へ方の人からもクレームがこないやうな八方美人的な記事ばかりになってしまっては、讀んでゐてもちっとも面白くないでせう。
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.23 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月22日

今日入手した資料

・R.シュトラウス、E.シュッフ往復書簡
 テノールテューバの扱ひについて、E.シュッフがR.シュトラウスに宛てた書簡があります。これまで英文資料しか手元になく、しかも出典が全く書かれてゐなかったのですが、これでやっと判りさうです。早速従来の説(ほとんどがC.Bevanの「The Tuba Family」からの引用と思はれる)の間違ひがありました。「テナーチューバ解體新書」も書き直さなくてはなりません。

・ギャルドの歴史的録音
 「ピエール・デュポン ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」(GREEN DOOR GD2032/3)
 こちらから購入できます。

 よくもまぁ、こんな音源がありましたですね。ライナーツノートによれば、まだ収録曲以外に10數曲はあるとのことです。インディーズレーベルですが、大變な功績だと思ひます。

【CD1】
フローラン・シュミット:ディオニソス
ガブリエル・パレス:リシルド序曲
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ウエーバー:舞踏への勧誘
リスト:交響詩「レ・プレリュード」
モール:スイス民謡の主題による変奏曲
ウエーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲

【CD2】
ラヴァーニュ:暴君ネロの逃走と死
ブリュノー:メシドール
メサジェ:舞踏組曲「イゾリーヌ」
リムスキー・コルサコフ:スペイン奇想曲*
メサジェ:舞踏組曲「二羽の鳩」
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」〜第3幕への前奏曲
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」〜大行進曲
マイアベーア:戴冠式行進曲
ベルリオーズ:ハンガリー行進曲
モーツァルト:トルコ行進曲*

【演奏】
ピエール・デュポン(指揮)
ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団

【録音】
1927年-1935年
F. Columbia(*日Columbia)
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Sep.22 02:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月19日

バンドジャーナル特集「歌ひ方」と、吹奏楽コンクールへの素朴な疑問

 今月のバンドジャーナルの特集は「歌ひ方」でした。各界の有名人(なんと八代亜紀さんまで!)へのインタヴューが満載で、今までなんとなく「歌って!」と言はれたり言ったりしてきた人(実は私はさういふ指導をされるのもするのも大嫌ひでした)は、必見です。特集を担当された、佐伯茂樹氏渾身の作かと思ひます。

 

 例年なら、この時期はコンクール特集だったかと思ふのですが、今回のバンドジャーナルにはコンクールの話題が見当たりません。先月は、ホルストの組曲第一番の第一楽章のスコア(自筆譜に基づく伊藤康英による校訂版)が付録でしたし、来月は第二楽章(あのバリトンのソロがある!)が付録です。段々アカデミズムが濃くなってきた気がします。

 コンクールの存在自体は、私はどうでもよいと思ってゐる(何かしらの目標にはなるし、嫌なら出なければいい)のですが、職場の部をなくしたり、事前に審査員にコーチしてもらふとか、色々な話を聞かされると、うんざりしてしまひます。

 そもそも、各大会主催の理事(それって各団体の代表ですね)が審査員を選んでたりとかするところからして、アンフェアなコンクールだと思ひます。今回のバンドジャーナルとか、欽ちゃんの仮装大賞みたいに、普通なら直接交はることのなささうな、各界の一流の方々に審査して貰へないもんですかね…。それと高校野球みたいに、プロの指導禁止とか…。

 もう、日本中に仁義なき戦ひが繰り広げられてゐて、教育的配慮どころか、

 「金賞を取るには、高額な楽器、高額な指導、そして自らを有利に導く政治が必要」
 「金賞を取るメリットは、先生がモテモテになって、セクハラしても捕まらないどころか、誰もそれを問題とすら思はなくなる」

そんないびつな熱血少年少女が育って、卒業後に後進の指導にあたってゐます。「部活」「教育」といふ名の元に、悪質な宗教団体のやうな洗脳が行はれてゐるのです。そんなのはごく一部と言ふ人もゐるでせうが、全国大会や地方大会金賞常連校などから聞く話です。完全に病んだ世界のやうです。

 そして、いい大人になっても、指揮者から「バカ、死ね」と言はれて金賞を喜ぶ。いびつです。

 ある方が、ある団体のエキストラに行って、その練習中に指揮者から「バカ、聞こえねーぞ」と怒鳴られたさうです。その時そのエキストラの方は「大の大人に向かってバカとはなんだ!」と怒鳴り返したさうです。私には、このエキストラの方の方が、健全に思へてならないのです。

 また、県の一般連盟の副理事長ごときが、全国大会の職場の部の「講評」として、レヴェルが低い、他の部門に失礼だと言わんばかりの批判を、全国紙に掲載したことがありました。「エールを送ったつもり」のやうですが、この「県の一般連盟の副理事長」様は、一般の部門でコンクールに出場してゐる団体の代表者です。審査員でも何でもありません。それも、自らが出場する部門に対してならまだしも、「メディアを使って、他の部門の批判をしてゐる」のです。内容がどうであるか以前に、大の大人がやることではありません。

 奇しくも例に挙げた方が指導・所属する団体は、全日本吹奏楽コンクール一般の部、金賞常連団体です。ブラバン小僧が、学校を卒業して、自らの名誉と居場所とを、吹奏楽コンクールの世界に築いて行かうとした、なれの果ての姿のやうに思へてなりません。

 この夏も沢山の参加者が、脇目も振らず、一生懸命練習に取り組んだことでせう。何かに向かってひたむきに取り組む姿を批判はしません。しかし、向かってゐる方向がをかしければ、自他共に有害なのです。

 考へ直さなければならない時期はとっくに来てゐるやうに思ひます。それが判らないガキ大将共が、保身と妙な使命感のために、未だに健全な青少年の周りに蔓延ってゐるかと思ふと、本当に不憫です。私など、子供に吹奏楽をやらせたいなどとはこれっぽっちも思はないですね(笑)。
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.19 16:41 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

アニメ「けいおん」 ユーフォニアムキャラ? 三浦茜 その2

 元のアニメを見てないのですが、どうもその架空キャラとして「三浦茜」といふユーフォ吹きが作られて盛り上がってゐるのだそうです。イラストはもちろん、動画があったり、同人誌があったり、フィギュアがあったりと…

 三浦茜まとめ@wiki
 http://www31.atwiki.jp/debichan/

 で、何が言ひたいかといふと、画像に使はれてゐる樂器が、どうも見覺えあるものばかりで、驚きました。

 01.jpg  03.jpg

 02.jpg
 
 特に一番下。BOOSEY & Co の1930年ものぢゃないですか。この樂器、JETAの日本ユーフォニアム・テューバ・フェスティバル2010で展示しようと思ってたのに、これぢゃ「三浦茜(デビちゃん)使用のユーフォニアム」と書かねばならんのでせうか?
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.04 17:23 | Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月02日

樂器担いで道場破り in 台北 その2 台北市民管樂團

 昨年の11月に訪問した台北市民管樂團(Taipei Civic Symphonic Band)を、今回も見學させて頂きました。前回のレポートはこちら

 この吹奏樂團は木曜、金曜、土曜のグループがあり、それぞれ別のメンバーで構成されてゐます。前回は木曜日のグループを訪問しました。今回は、再び木曜日のグループ、そして金曜日のグループのリハーサルを訪問です。

 木曜日は、團長の蘇さんが經營するミュージックショップ(樂器、樂譜、DVDの販賣)の地下練習室でリハです。
 tcsb05.jpg tcsb01.jpg

 木曜グループの指揮は目玉をギョロギョロさせてビシビシ指示を飛ばすトランペット奏者鄒基華先生なのですが、この日は團員で、音楽総監督の康さん(フルート擔當で、學校の先生)が振ってゐました。

 初見大會だったようで、ニューサウンズ・イン・ブラスの「魔法にかけられて」、ミュージック・エイトの「銀の龍の背に乗って」など、ポップス中心にかなり沢山、次から次へとやっていきました。

 このグループは、割とほのぼのとしてゐて、あまりシビアな感じではありません。

 ユーフォ組で一枚/當日指揮を擔當した康さんと一枚
 tcsb02.jpg tcsb04.jpg

 終了後、團長の蘇さん(普段はテューバ擔當)とユーフォデュオ。曲目は「スーパーマリオブラザース」

 tcsb03.jpg

 さて、金曜は所を變へて、樂團の練習所へ。この練習所は、金曜、土曜のグループと、日曜のオーケストラがリハーサルに使ってゐる、専用の施設とのことです。

 金曜は、人數もそこそこ多く、蘇さんが言ふには、「ミドルクラス」とのことです。指揮はダンディーで紳士的なクラリネット奏者の何康國先生です。

 まづは練習曲集から數曲音出しして、調子を整へます。いきなり、暗くて靜かな曲だったので、好感が持てました。いきなりかういふ曲がきちんと出來る樂團は、かなりな實力だと思ってゐますが、何先生もそれを目指してゐるのでせうか。いいセンスだと思ひます。

 その後、近くに迫ったイヴェント「2010年小小市民の音樂會」で演奏する豫定の「白鳥の湖」「輕騎兵」「ディズニーメドレー」、そして初見でスパークの「ジュビリー序曲」と、結構ハードなメニューでした。

 指揮者はあまりアーだコーだと指示を出さず、上手く行かないところがあると止めて、「それでいいの、そこ? 違ってない?」といふ感じで、該當箇所を團員に確認させてゐるやうな感じでした。ある程度吹ける人が多いので、細かくは指示しないですむのかも知れません。

 ディズニーメドレーでは、隣のユーフォニアム奏者から、ソロをやるやうに言はれたので、調子に乗ってジャズ風にフェイクしてみました。譜面では実音a1までのところを、原曲と同じフレーズにしてc2まで出しました。隣の奏者からお褒めの言葉が。うっしっしっと喜んでゐましたら、指揮者がクールに、「もう一回行きませう」。で、もう一回、なんとか成功。先に進んでラスト。ホッとしつつも、「もう一回やれ」と來るんぢゃないか、と思ってゐたら、案の定、クールに再びディキシーから通しですと(笑)。流石にオラオラしさうだったので、フェイクはしましたが、a1までにしておきました。いいイジメ方を教へていただきました(笑)。

 リハ終了後、何先生にご挨拶。微笑みながら握手してくださいました。本當に物靜かで紳士的な方です。

 片付けをしてゐましたら、年配のホルンの方から、「いい音、よく聞こえた」と日本語で褒めていただきました。年配の方から褒められるといふのは、本當に嬉しいものです。

 お世話になった蘇さんともお別れです。蘇さんが、今日はミドルクラスだが、土曜はもっとハイレヴェルなんだと言ふので、次回は是非土曜日のリハに挑戦したいと言ひました。一瞬「本氣か?」といふ表情でしたが、いいとも!とのお返事でした。ちょっと緊張しますね。
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.02 02:19 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月01日

樂器担いで道場破り in 台北 その1 SKBハードケース

 早めに夏休みを貰って、臺灣の台北に行ってきました。昨年の11月に訪問した台北市民管樂團(Taipei Civic Symphonic Band)を、今回も見學させて頂くことが出來ました。

 今回は、自分の樂器を持って行くことにしました。勿論ユーフォニアムは飛行機の客席への持込が出來ませんので、荷物室に預けることになります。そこで早速SKBユーフォニアム用ハードケースの使ひ心地を、自ら試してみることにしたのです。我ながら、實に仕事熱心です(笑)。

 持って行ったのは、BOOSEY & HAWKES 7674 IMPERIAL です。普段メインに使ってゐるのは BESSON BE2051 PRESTIGE 初期型なのですが、ベル径が294mmもありまして、なんとか収納は出来るものの、ベル周りに十分な空間がなく、衝撃が加はったときにベルを歪ませるおそれがあると判斷し、B&H の IMPERIAL(ベル径284mm)にしたのでした。

 保護袋に入れて、ベルの割の隙間にエアパッキンを適量入れます。
 euph01.jpg  euph02.jpg

 無事に届くでせうか。心臓バクバクです。
 euph03.jpg

 チェックインの時に「凹みやすい樂器ですので、丁寧に扱ってください」と傳へるのを忘れないやうにして下さい。「航空會社には責任を問ひません」といふ念書を書かされますが、この一言を言っておけば、クルーが手渡しで搬入してくれたり、色々工夫してくれます。

 飛行機に乗り込んだら、あとは野となれ山となれで、到着を待つばかりです。

 これは、あくまで緊張を解きほぐすために…
 00.jpg

 台北に着いて荷物を受け取るなり、すぐチェック。無事でした!
 euph04.jpg

 これと別に、クロンカイトのソフトケースも持って行きました。この中に着替や旅行に必要なものを入れておいたのです。ホテルで中身を出して、ユーフォニアムを収納すれば、樂器を持っての移動が樂になります。普通のバッグはカミさんの分だけしか持って行きませんでした。持ち物からして、やる氣満々(笑)。
 
 なほ、ケース+樂器は結構重いので、重量制限に引っかからないやう、お氣をつけ下さい。特に歸りはおみやげなどで重さが増しますので。
 
 さぁーっ! 臺灣でもバリバリ吹きまっせ!
 01.jpg

 續く!
 
【注】普通の觀光も、ちゃんとしてきましたよ。勿論名物のマッサージや夜市で食べ歩きも。そのうちこっちにレポートします
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.01 03:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月03日

楽器を改造すること

 勤め先で「タイレストラン」を経営してゐるのですが、新しいコックさんをタイから呼びますと、まず最初にぶつかるのが「味付け」です。タイ料理は「辛い!」といふ印象がありますが、作らせると、全然辛くありません。しかも味が薄い。これは現地へ行っても同じです。でも、日本のタイ料理屋さんのタイ料理は激辛ですね。

 バンコクに行ったときに、フードコートで食事を注文しながら、他の客の様子を見てゐましたら、わかりました。現地の人は自分で味付けしてゐるのです。

 例へばクイティオ(米で作った麺のラーメン)が出てくると、客はそこにナンプラー(魚で作った、臭いのきつい醤油みたいなもの)で塩味と香りをつけ、お酢や唐辛子、果ては砂糖とかを、ガバガバ入れていきます。中には、調理人の目の前で味見しながら入れる人もゐます。人気のあるレストランでも、テーブルに調味料や香辛料がズラリとあります。

 日本はどうでせう。確かにラーメン屋とか、そば屋とかうどん屋にスパイスは置いてありますが、あんまりガバガバと入れることは憚られるのではないでせうか。私など、「まずい!」と見せ付けてゐるやうに見られるのが嫌で、最低限しか入れません。それも、調理人の目を盗むやうに(笑)。

 「自分が食べるものだから、自分の好きなやうに自分で味付けして食べるのが当たり前」といふ習慣と、「客の口に合ふ味付けを、調理人が苦労して生み出して提供するのが当たり前」といふ習慣とのギャップに、タイからやってきたコックさんも戸惑ふわけです。

 さて、楽器にも似たやうなところがあり、例へば日本では、「ピッチが低いので管をカットしたい」と言ふと、たちどころに「バランスが狂ふからよくない」といふ感情が湧き出てくるものです。いや、すでにバランスが悪いから、バランスを取らうとしてゐるのですが、どうも「提供されてゐる状態がベストである」「完成されたものをお客様にお出しする」といふ私達日本人の「ものづくり」に対する心が、具体的な行動を制御してゐるやうに思ふことがあります。

 しかし、諸外国の楽器をよく見てみると、明らかに低めのピッチで出荷してゐたり、ロットによって、管の長さが異なってゐるなどといふことが当たり前のやうです。そして、低ければ工房で切ってもらふ事が当たり前のやうで、それで職人が気を悪くするわけでもないやうなのです。

 ずゐ分以前のパイパーズになりますが、スイスのヒルスブルナーの取材記事に、「ピッチが低い」といふことで、工房に同社のテューバが持ち込まれた話がありました。職人さんは別に文句を言ふこともなく、何セント上げたいのかを訊いて、テューナーでピッチを測り、何やら計算してあっさり管を切ったといふことです。「何ぃ? それはお前の腕が悪いんだ」などと言ふこともなく、職人はあっさりと作業してゐた、そして、一本一本手作りなんだから仕上がりは違ふんだ、使ひ手が使ひ易いものを選んだらいいし、使ひ易いやうに使ったらいい、といふことを職人が言ってゐた、と感慨深げに書いてゐたことが印象に残ってゐます。

 この記事を読んだり、実際に色々なメーカーの楽器を手にして比較したりしてゐる間に、「ピッチが低いのは自分のせゐだと思ひ悩むくらゐなら、とっとと切って楽になった方がよい」といふケースを沢山見てきました。

 特にヨーロッパの楽器は、極端に言へば、日本の楽器とは違ひ、出荷された時点ではまだ完成されてゐないと言ってよいかと思ひます。使ひ手が自分にあった使ひ方が出来るやうに、発注時に色々注文が出来るのが普通ですし、既成モデルも、色々な場所を調整できる猶予があると言ってよいのではないかと思ひます。

 この場合、案ずるより生むが易しといふことなのでせうね。勿論腕のある職人さんと相談することが先決ですが。
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Jun.03 19:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。