ユーフォニアムに携って、もうすぐ27年。とっくにヴァンサンカン超えてゐたのですね。このサイトもお陰様で390,000アクセスを突破し、まもなく400,000です。なぜこのやうな、地味なサイトを立ち上げたのか。その元になる體驗は、實は今から24年前、中學生時代にあったのです。
當時は、音大を出たばかりのテューバの先生(佐野日出男氏と同期)が顧問でして、奏法についてはかなり喧しく教へられました。その一方、バンドジャーナルやバンドピープルのレッスンコーナーや、特集記事を讀んでは、一般に知られてゐないユーフォニアムについての知識を得てゐたのでした。雑誌といふ媒體でしたが、このやうな場があったことに、私は今も感謝してをります。
そんな私にも後輩が出來ました。ある日、彼は、樂器屋から貰った、ドイツのミラフォンのカタログを見せてくれたのでした。「先輩、この樂器、何ですか?」と指し示したのは、ロータリーで卵形の樂器です。私は雑誌などで得た知識から、「ああ、これはテナーチューバだよ」と言ひましたが、後輩は首をかしげてゐます。
「だって先輩、ここにBaritonって書いてありますよ」
「違ふよ、バリトンはユーフォよりも細い樂器だよ」
「でも、こっちなんかTenorhornって書いてありますよ。これ、どう違ふんですか」
「どっちもロータリー式だから、テナーチューバなんだよ」
「でも、ここには・・・」
「とにかくかういふのはテナーチューバっていふんだよ。オケで使ふものなんだ! ユーフォの偉い先生もさう言ってる」
「あと、先輩、ここにKaiserbaritonって・・・」
「はい、ロングトーンやるよ〜」
と、強引に押し切ったやうな記憶があります。もしかしたら、未だにあちこちで、私と同じやうな先輩や、ことによれば先生も見られるかも知れないです(笑)。
後輩にさうは言ったものの、「Bariton」「Tenorhorn」そしてテナーチューバをどう考へたらいいのか、私は密かに惱んでゐたのでした。後輩にどう説明すれば納得して貰へるのか、といふ問ひは、やがて、その眞相は如何に、といふ問ひへと變って來たのでした。それは、不正確なことを、あたかも正確であるかのやうに語ることは、嘘をついてゐることに他ならないのだと、私の心の何かが私を窘めてゐたからだと思ふのです。人に何か知識を授けなくてはならない時、その授けた相手に對する責任を背負はなくてはならない、さう子供ながらに思ったのでせう。
それで、ボチボチと調べ始めたわけです。
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