樂屋も一人部屋をご用意頂くといふ身に余る待遇(余計に緊張しさうでした(笑))。
ユビキタスバッハとは違ひ、モダン樂器のみのオーケストラでしたので、音程や音量のバランス、音色の違和感にかなり苦勞しましたが、指揮者の久行氏(作曲家でもある)からは「テューバで演奏すると、どうも音量音質共に浮いてしまって、疑問でした。オフィクレイドで演奏すると、出しゃばることなく木管樂器とよく溶け込んでゐて、このバランスがメンデルスゾーンの意圖してゐたところなのだらうと納得ができました」とのお言葉を頂きました。
また、序曲には、面白いことにトロンボーンが含まれてをらず、「エリア」とは大分役割が違ってゐる感じがしました。佐伯茂樹氏によれば、メンデルスゾーンの自筆譜にはオフィクレイドではなく、イングリッシュ・バスホルン(Corno Inglese di Basso)と記されてゐたさうです。イングリッシュ・バスホルンを吹いた経験がないので、響きをイメージしにくいのですが、色々な寫眞を見ると、オフィクレイドのやうに半音順にキイが装備されてゐるわけではなく、セルパンと同じく、指の届きさうなところに指穴が開けられてゐて、足りない分をキイで補完するやうな構造の樂器であることがわかります。音程をきちんと取って安定した響きを出すのは、オフィクレイド以上に大變さうです。
イングリッシュ・バスホルン Griesling & Schlott製 (Ger. Berlin)
(Guenter Dullat, "Holtzblasinstrumente und Metallblasinstrumente auf Auktionen 1981-2002", P.178, Guenter Dullat, 2003. )
佐伯氏は御著書の『名曲の暗号: 楽譜の裏に隠された真実を暴く』(音楽之友社)で、メンデルスゾーンはこの曲において、「鳴き声の最も惡い動物」であるロバ(劇中に頭をロバにされてしまった男が登場する)の概念を、この樂器に表現させたのではないかと書いてをられます。
実際、ソロの場面は、オフィクレイドにとってもなかなかシビアな最低音でして、なんとかしようとしてこんなおっかない顏で演奏してゐたやうです(笑)
なほ、このイングリッシュ・バスホルンの指定は、今年の4月に Hynemos Wind Orchestra で演奏する「ハルモニームジーク(吹奏樂)のための序曲」にもあり、興味深いところです(オフィクレイドで演奏します)。
今回はケノン製のC管(11鍵)を使ひました。高音から低音まで音域が廣かったですが、モダンオケと演奏するため、マウスピースは「エリア」の時と同じ、やや深いレプリカ(元のメーカー等は不明)を使ひました。一番左のマウスピースです。
といふことで、昨年後半に二度もエキストラとしてお声をかけて頂いたオフィクレイドの演奏ですが、機會を頂けましたら今後も演奏していきたいと思ってゐます。
SENZOKUジュニアオーケストラ 第5回定期演奏会
2013.12.01 Sun
開場:10:30 開演:11:00
洗足音楽学園 前田ホール
指揮:久行敏彦
Program
メンデルスゾーン/真夏の夜の夢より 序曲
ウェーバー/クラリネット五重奏
モーツァルト/交響曲 第35番 「ハフナー」
一度音を聞いてみたいです。
最近、自由演奏会に来られないですね。
この前のみなとみらいでは、戸田顕さんとミマスさんがゲストでいらっしゃいました。
来週Bariton宜しくお願いします。