2010年08月19日

バンドジャーナル特集「歌ひ方」と、吹奏楽コンクールへの素朴な疑問

 今月のバンドジャーナルの特集は「歌ひ方」でした。各界の有名人(なんと八代亜紀さんまで!)へのインタヴューが満載で、今までなんとなく「歌って!」と言はれたり言ったりしてきた人(実は私はさういふ指導をされるのもするのも大嫌ひでした)は、必見です。特集を担当された、佐伯茂樹氏渾身の作かと思ひます。

 

 例年なら、この時期はコンクール特集だったかと思ふのですが、今回のバンドジャーナルにはコンクールの話題が見当たりません。先月は、ホルストの組曲第一番の第一楽章のスコア(自筆譜に基づく伊藤康英による校訂版)が付録でしたし、来月は第二楽章(あのバリトンのソロがある!)が付録です。段々アカデミズムが濃くなってきた気がします。

 コンクールの存在自体は、私はどうでもよいと思ってゐる(何かしらの目標にはなるし、嫌なら出なければいい)のですが、職場の部をなくしたり、事前に審査員にコーチしてもらふとか、色々な話を聞かされると、うんざりしてしまひます。

 そもそも、各大会主催の理事(それって各団体の代表ですね)が審査員を選んでたりとかするところからして、アンフェアなコンクールだと思ひます。今回のバンドジャーナルとか、欽ちゃんの仮装大賞みたいに、普通なら直接交はることのなささうな、各界の一流の方々に審査して貰へないもんですかね…。それと高校野球みたいに、プロの指導禁止とか…。

 もう、日本中に仁義なき戦ひが繰り広げられてゐて、教育的配慮どころか、

 「金賞を取るには、高額な楽器、高額な指導、そして自らを有利に導く政治が必要」
 「金賞を取るメリットは、先生がモテモテになって、セクハラしても捕まらないどころか、誰もそれを問題とすら思はなくなる」

そんないびつな熱血少年少女が育って、卒業後に後進の指導にあたってゐます。「部活」「教育」といふ名の元に、悪質な宗教団体のやうな洗脳が行はれてゐるのです。そんなのはごく一部と言ふ人もゐるでせうが、全国大会や地方大会金賞常連校などから聞く話です。完全に病んだ世界のやうです。

 そして、いい大人になっても、指揮者から「バカ、死ね」と言はれて金賞を喜ぶ。いびつです。

 ある方が、ある団体のエキストラに行って、その練習中に指揮者から「バカ、聞こえねーぞ」と怒鳴られたさうです。その時そのエキストラの方は「大の大人に向かってバカとはなんだ!」と怒鳴り返したさうです。私には、このエキストラの方の方が、健全に思へてならないのです。

 また、県の一般連盟の副理事長ごときが、全国大会の職場の部の「講評」として、レヴェルが低い、他の部門に失礼だと言わんばかりの批判を、全国紙に掲載したことがありました。「エールを送ったつもり」のやうですが、この「県の一般連盟の副理事長」様は、一般の部門でコンクールに出場してゐる団体の代表者です。審査員でも何でもありません。それも、自らが出場する部門に対してならまだしも、「メディアを使って、他の部門の批判をしてゐる」のです。内容がどうであるか以前に、大の大人がやることではありません。

 奇しくも例に挙げた方が指導・所属する団体は、全日本吹奏楽コンクール一般の部、金賞常連団体です。ブラバン小僧が、学校を卒業して、自らの名誉と居場所とを、吹奏楽コンクールの世界に築いて行かうとした、なれの果ての姿のやうに思へてなりません。

 この夏も沢山の参加者が、脇目も振らず、一生懸命練習に取り組んだことでせう。何かに向かってひたむきに取り組む姿を批判はしません。しかし、向かってゐる方向がをかしければ、自他共に有害なのです。

 考へ直さなければならない時期はとっくに来てゐるやうに思ひます。それが判らないガキ大将共が、保身と妙な使命感のために、未だに健全な青少年の周りに蔓延ってゐるかと思ふと、本当に不憫です。私など、子供に吹奏楽をやらせたいなどとはこれっぽっちも思はないですね(笑)。
 
Copyright(C) 2010 岡山(HIDEっち) (PROJECT EUPHONUM http://euphonium.biz/) All rights reserved. 文章・画像の無断転載厳禁 | Posted at Aug.19 16:41 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コンクールだけでなく,演奏会における選曲の方向性(吹奏楽の名曲に目もくれず,コンクールとは無関係の演奏会であるにもかかわらず,突貫工事の課題曲発表,中身のない映画音楽もどきのオリジナルを少々,中途半端に衣装を合わせ,中途半端な踊りと寸劇を混ぜたポップスステージ等)に怒りが爆発し,吹奏楽から2年前に足を洗いました。今は聴くだけです。グレンジャー,パーシケッティ,ネリベル,などもうできないのかな?と悲しい気持ちになりながら,でもこういった作曲家(他にも残すべき作品ありますが)の作品は残して行ってほしいなと思う今日この頃です。
Posted by かねおり at 2010年08月19日 19:56
自分の子供には、金管バンドをやって欲しい
ですね(^◇^)
で、一緒に演奏出来たらなおいいかも(^◇^)
Posted by わたぼうし at 2010年08月19日 22:22
HIDEっちさん、ごぶさたしています。
お怒りの件、本当にその通りです。
そしてついに先日、最も恐れていたことが起こってしましました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100827-00000190-mailo-l20

コンクール優勝のゲン担ぎとして、自作の下着を女子生徒に履かせ、着て来た下着を持ち帰った吹奏楽部副顧問・・・何をかいわんや、です。

吹奏楽という小さな山の大将になりたいがための、子供たちを利用した醜い競り合い。
音楽とは全く関係ありません。
こんな事だから、吹奏楽は一般クラシック音楽から、何段も下に見られてしまうのです。
随分前から言われてきたことですが、金と権力とコネの横行する現行のコンクール方式を、早く見直すべきでしょう。
Posted by Euphozilla at 2010年09月06日 14:44
ども、ページが替わってから書き込むなんて..m(__)m
大変興味深い情報ありがとうございます。m(__)mm(__)m
本当に久しぶりにBJ買いに行きました。
もう吹奏楽から足を洗って数年ですが、
今月下旬にオーストラリアへブラスバンドのコンテスト受けに行ってきます。
どうなるやら.....
向こうも発祥地英国に習ってブラインド審査です。
過去2回参加したものは、
課題曲15分自由曲15分賛美歌5分行進曲5分というものでした。
また、何かの機会にお会いしたいです。
Posted by オブリガート at 2010年09月28日 18:40
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