ヤマハの參加型イヴェント、「楽器持って旅に出よう! 〜BRASS de FEST in 箱根〜」に行ってきました。
今回のヤマハのイヴェントは、ウィーン・フィルハーモニーのバスポザウネ(バストロンボーン)奏者のカール・ヤイトラー氏を招いて、氏の指導の下にウィーン式の吹奏楽と金管アンサンブルを體驗するといふものでした。
このイヴェントの面白いところは、「ただ集まって吹く」のではなく、ウィーンといふ拘りに惹かれた人が集まって、風光明媚な箱根芦ノ湖の畔に立つホテルで、景色と美味しい料理を樂しみつつ、「大人の休日」を満喫するといふところです。
ですので、參加費は決して安くはありません。二泊三日で59,000円です。宿泊費に夕、朝、昼各2食(計6食)の食費込ですが、なんと懇親会の飲み物は別料金です(ちゃんとしたホテルですからビール1本990円でした!)。また懇親會は立食ではなはないので、食事會のやうなものです。合宿のやうな飲み會はありません。
それでも私がこのイヴェントに參加しようと思ったのは、増え續ける中高年のアマテュアプレーヤーが、如何に音樂活動を樂しむか、それにはどのやうな場が相応しいのかと、最近、そんなことを考へてゐたからでせう。
今後ますます増えていく中高年のアマテュアプレーヤー。普段演奏してゐるやうな、若手作曲家の映畫音樂のやうな浅薄な曲、派手さばかりで喧しいオリジナル曲、取って付けたやうな構成の継ぎ接ぎメドレーにうんざりしている中高年者にとっては、ある嗜好に基づいて、しみじみと樂曲を味はって、ちょっとは優雅な氣分で演奏を樂しむことは、一つの憧れではないかと思ふのです。
樂團に所属してゐても、それを發露したり、企畫したところで、血氣盛んな若い団員の同意を得ることが困難であることは目に見えてゐます。候補に出した名曲も、地味な故に採用されずに、悶々としてゐる、といふ聲をよく耳にします。ましてや、各國獨特の樂器やスタイルに拘って團全體を動かすなど、至難の業で、かと言って、同好の士を集めるのは、さらに厄介なものです。しかし、中高年者が樂しめる機會がないままでいいのか、また、中高年者が若年者にはないやうな深みを育てる、そんな刺激の場がないままでいいのか、といふ思ひが私にはあったのです。
果たして、全國津々浦々から、ウィーンの管樂合奏に憧れた人達が箱根に集合しました。自由演奏會のやうな大人數ではありませんでしたが、中高年のご夫婦での參加者も多く、かつ何か拘りを持った面持ちの方が多かったのが印象に殘りました。私も、ほんの數日間でしたが、ウィーンの雰圍氣に滿ちたJ.シュトラウスらの音樂を奏でる樂しみを味はったのでした。
かういふイヴェントを開催するのは、企畫段階から相當なご苦勞があったと思ひますし、開催中の運營のご苦勞も相當なものかと拜察します。初めての試みの中で、參加者の想定も困難だったでせうから、賛助奏者の手配にも頭を惱ませたことでせう。
ずっと樂器を演奏してゐなかったといふご婦人が、「楽器を持って旅に出よう!」といふ言葉に、勇氣を出してご主人さんと參加し、あこがれのウィーンの音樂を樂しめて、本當に來てよかった、といふお話を伺ひました。これだ!と思ひました。
願はくは、これに懲りずに、ただ吹きたい人が集まって、思いっきり吹いて、はいお終ひ、樂しかったね、といふイヴェントばかりではなく、今回のやうな嗜好の強いイヴェントも開催していただけたら、と思ひました。
【思ひ出寫眞集】
その後、ヤマハOBの方とウインナ・チューバについて連絡取り合っております。
まだあれから2週間程度しか經ってゐないのですね。随分前のことのやうです。