
エキスポニアム・フォー 逆輸入ユーフォニアム奏者博覧会
http://www.kkdac.co.jp/inst_info/euphonium/event.html#exponium4
行って參りました。明日、明後日と大事な本番を控へた兵庫のとみやんが、この爲に上京するといふので、Saxhorn Depot にお出でいただき、そこから一緒にスペースDo(管樂器店ダクの地下にあるホール)に向かひました。
・阿部 竜之介
・齋藤 充
・照喜名 俊典
・山田 伊津美
といふ、若手奏者によるソロとユニットです。
勝手な感想ですが、
・阿部 竜之介さん → 直情的
・齋藤 充さん → 正統派
・照喜名 俊典さん → 人間臭さ
・山田 伊津美さん → 質実剛健
といふ印象でした。
ラストは4人のユニット(曲は照喜名さんの作品)でしたが、正にこのキャラクターによるソロが展開されてゐました。メンバーの個性を鋭敏に感じとって、それをエンターテイメントとして存分に活かした照喜名さんの力作だと思ひます。この曲を別の面子でやったら、果たしてこれだけ面白い演奏になるのか? と思ふやうな演奏でした。
キーワードは二刀流とのことで、アンコールは、このラストの曲を、サクソルンバッセとヴァルヴトロンボーン、トロンボーンの4重奏による演奏となりました。アンコールですから、一曲目のファンファーレ(コンサートの冒頭でも奏でられた)だけで終はるものと思ひきや、なんと2楽章に突入(笑)。この瞬間、「えっ! 全楽章? といふことは、あのラストの樂章をトロンボーンでやるってか? やるの? 本當にやるの?」と思ひ、ラストの樂章までニヤケが止まりませんでした。このラストの樂章は、速いテンポで目まぐるしくカッ飛ぶジプシー風の曲なのです。果たして阿部氏がトロンボーンでウリャウリャと細かいフレーズを直情的に奏で、フィニッシュへ。聴衆一同、大興奮の拍手となりました。
他で聞いたことのない曲の興味深い演奏と、一見各人が勝手に選曲してゐるやうで、實は用意周到な構成がなされてゐる企畫(この辺は照喜名氏の功績のやうな氣がする)とが、よく調和してゐて、愉しめました。
なんと言ひますか、「參考のために上手な演奏を聽きにいく」といふ類の、言はば同業者に向けたライヴではないですね。ライヴ自體を愉しめるやう、目に見えない工夫がされてゐるライヴだと感じました。
さうさう、照喜名さんのセッション、興奮しました。文章にするのは難しいのですが… ユーフォニアム、ギター、ベースによるプレイ、アドリブソロの起伏を他の奏者が鋭敏に捉へて、一氣に盛り上がっていくところがたまりません。伴奏はソロを聽いて表現し、ソロは伴奏の盛り上がりでさらに盛り上がる。聽いてゐるこちらに、ものすごい快感がわき上がってきました。これ、思ひつきとか、たまたまとか、一時の感情ではないんですよね。他人のプレイに對する鋭い感覺がないと、とても出來ることではないと思ひます。それは、譜面に沢山の指示があるクラシックの作品でも、根本的には同じなのではないかと思ひます。