手元のカタログを見ると、ベッソンは
2002年まで Buffet Crampon
2003年から The Music Group(含むBuffet Crampon)
2006年から Buffet Crampon
と、經營母體が變ってきた(これ以前もあちこちに變ってゐたのだが、それは、この項ではひとまづ置いておく)。
私がモデルの變化に「おや?」と気づいたのは2005年のカタログの畫像を見てからだ。當時、ベッソンの工場がドイツに移るとかいふ噂があり、どうやら、同じ「The Music Group」の「Keilwerth」(ドイツのメーカーで、サクソフォーンが有名。現在は york のユーフォニアムを手がけてゐる)の手によるものだとのことだった。
そして、The Music Group が倒産し、再び Buffet Crampon の傘下として BESSON ブランドの各モデルは開發が續けられてゐる。現在は、Keilwerth を離れ、どうやらドイツのJAグループ(農協ではなく、マルクノイキルヒェンの各メーカー、WENZEL MEINL や B&S で有名)で製造されてゐるやうだ。
先にも書いたやうに、まづ「おや?」と思ったのが、全體のフォルムだった。特にこの部分左が Keilwerth で製造されたBE967-2、右がイギリスメイドの967GS-2。
ピストンのボタンや、右手のサムレスト・パイプの形状は置いておくとして、黄色い○の中を注目していただきたい。かつてのベッソンは、上方向に向かって、幅が狭くなるようなレイアウトであり、この形状がウィルソンやヤマハとは異なるものであった。しかし、ドイツ製になってから、この部分が、他社と同様の平行に近いデザインになってゐる。かつてのこの柔らかいラインこそ、ベッソンの美しいフォルムを形成してゐると思ふにつけ、残念である。
また、いつの間にかボアサイズが變化してゐたことに、お氣づきだったらうか? カタログスペックでは、2007に至っても、14.72mm/第4ヴァルヴ16.52mmなのだが、最新のカタログでは15.00mm/第4ヴァルヴ17.00mmとなってゐる。
上記畫像のBE967-2は、2005年か2006年のもの(既にドイツで製造してゐるが、刻印は Made in England)で、カタログには 14.72mm/16.52mm と記されてゐるが、實際は15.00mm/17.00mmである。
日本のビュッフェ・クランポンのサーヴィスセンターによれば、ドイツ製になってから、材料の合理化が圖られ、汎用のサイズが採用されたのだと言ふ。
またベルサイズも、カタログには304.8mmと一貫して記載されてゐるが、上記967GS-2の實寸は310mm、BE967-2は307mmであった。
他、第1ヴァルヴのコンペ管が、固定され、抜差が出來なくなってゐたり、メインテューニングスライドの支柱がなくなったりなど、色々工夫がされてゐる。
デザインの變更や材料の合理化によって、ピッチのコントロールがしやすくなったり、より豊かな音で演奏することが樂になったりと、メリットも大きい。見方を變へれば、通常より多くのコストと手間暇をかけて、わざわざ鳴らしにくくコントロールの困難な樂器を製造して販賣することは困難なのだらう。
致し方ないことだが、寂しくもある。私が Besson の新しいモデルを使はず、york を選んだ理由も、york なら別ブランドなので、違和感なく受け容れられた、ということなのかも知れない。
ただ個人的にはGSモデルなる物が出て来た頃から好みでなくなったので、最新の技術を盛り込んだ復刻版と思い音作りにはげんでいます。
ps
ultraシリーズなかなか販売されませんね。