曲目はメンデルスゾーンの「吹奏楽(ハルモニームジーク)のための序曲」。バスホルン(Corno Basso)のパートを演奏。メンデルスゾーンは、有名な「夏の夜の夢」などでもバスホルンを指定してゐたさうで、これが後に出版されるにあたって、オフィクレイド、さらにテューバといったパート名になったやうです。
バスホルンとは、セルパンを縦型にし、さらに金属製にしたやうな外観のリップリードの金管楽器。メンデルスゾーンが元々考へてゐた「Corno inglese di basso」といふのは、このバスホルンの一種で、ダブルリードの木管楽器であるイングリッシュホルンのバスではありません(時々そのような間違った解説を眼にしますが…)。管体には指穴の他にキイが着けられてをり、指穴が主体で補助的にキイが着けられてゐたセルパンやそれまでのバスホルンでは困難だった半音階が、より合理的に演奏できたやうです。
ブリュッセル楽器博物館所蔵のイングリッシュ・バスホルン(Corno inglese di basso)
19世紀初頭 Frederick Pace 製
オフィクレイドよりもさらに入手が困難なバスホルンは、流石に所有してゐませんので、オフィクレイドで演奏することにしました。ハ長調(C dur)なので、C管を使ふつもりでしたが、事情によりB管を使ひました。サクソフォンやユーフォニアム、テューバなどのパートが入った編曲版に、オフィクレイドのみ、原曲のバスホルンの譜面で演奏しました(ユーフォニアムの譜面はドイツ式バリトンで演奏)。
冒頭のホルンのハーモニーに、ファゴットとオフィクレイドによって加はるメロディーが、非常によい雰囲気を出してゐたと思ひます。オフィクレイドで演奏すると、曲のニュアンスがよりはっきりとする感じがしました。現代の楽器では、意識して、意図的にやらなければならないことが、オフィクレイドなら特に意識しなくてもしっくりとできるやうに思ひました。是非、ナチュラルトランペットやナチュラルホルンの加はった演奏に、いつか取り組んでみたいと思ってゐます。