オランダは、大都市アムステルダムで市内散策、ゴッホ美術館の訪問、そして、片田舎のローゼンダールの樂器店を訪問し、以前から目をつけてゐたウィーンタイプのバスフリューゲルホルンを購入。
ベルギーは、ブリュッセルで空軍の記念演奏會を觀覧しレセプションに參加、樂器博物館の見學、そして、アントワープの大聖堂を拜觀。
ツアーで回れるやうな内容ではないので、航空券からホテル、訪問先のコンタクトまで、すべて自力で手配するしかありませんでした。しかし、それもこれも、インターネットといふ便利な道具のお陰で、なんとか實現できました。
旅も終盤にさしかかり、アントワープのレストランで静かに食事をしつつ、以前から思ってはゐたものの、取りかかるのが面倒だったり、恐れがあったり、心配が先立って踏み出せなかったことを、やはりやらねばならないと思ふに至りました。
私があと何年生きられるのかは、わかりません。私が自分なりに疑問を持って、私の中に蓄積されたものは、私といふ人間がこの世から消えてしまえば、消えてしまふものです。ですから、私といふ人間が生きた證を、この世に殘しておきたいと思ったのです。
心はもと活きたり
活きたるものには必ず機あり
機なるものは
觸に従ひて發し
感に遭ひて動く
發動の機は周遊の益なり
吉田松陰 西遊日記より
もちろん、吉田松陰のやうな感じ方が出來たなどとは到底言へませんでせうが、圖らずも、そのやうな旅になりました。毎度ながら、このやうな旅に連れ添ってくれた妻に感謝してをります。
(って、一緒に竝んで撮った寫眞は、樂器屋のこれ一枚。しかも目をつぶってしまひました。申し譯ない。)